上州 武尊山(2158.3m) 残雪期
- P855
- 2017年5月7日
- 読了時間: 13分
2017/4/16(日) 武尊山(ほたかやま, 2158.3m)
天候:快晴
メンバー:P855(単独)

2017年4月16日(日)、上州武尊山に登ってきました。
「ほたか」と言えば、北アルプスの穂高岳を連想する方が多いかと思いますが、
漢字がカッコいいのは、こっちの武尊ではないかと思っています。
この武尊山、古くはヤマトタケルノミコト(日本武尊)が、この地方を平定したことに由来する史実(もとい作り話)に由来する山です。
よく、群馬において、「上毛三山」というと、
赤城山、榛名山、妙義山を指して言います(小学校で運動会の組み分けをする時もコノ三つで分けるそうです)。
確かに、赤城、榛名、妙義、いずれも個性的で堂々とした山容ですが、
武尊山だって負けちゃ、否さ、非常に堂々とした風格がある山です。
ちょうど、高崎、前橋方面から見ると、
子持山~赤城山の間にギザギザした城壁のような武尊山を見れるので、とても気に入っています。晴れた日、イオンモール高崎沿いの道から見るのとか最高。
そんな武尊山、雪のない夏場は、岩場有り、急登有り、標高差大、歩行時間長と非常にハードな山なのですが...
雪のシーズンとなると環境は一変。
スキー場のリフトを利用して、銀陵に染まる稜線歩きだけを楽しめる山となります。
恋愛のメンドクサイ事すっ飛ばして、一気に○○〇に泊まって、〇。○○楽しめるみたいな...違うか。
今回は、川場スキー場からリフトに乗り、冬から春の表情へ刻々と終わりなき変革を遂げる、武尊山 残雪期登山レポートです。
自分の更新がタイムリーでなく、川場スキー場の営業は、5月の連休で終わってしまいますが、来シーズン以降の参考になれば、コレ幸い。
それでは、早速、振り返ってみましょう。
■今回のまとめ
①武尊山は、リフトを使っても、使わなくても、結局、キツいことに変わりはない。
②緩やかな稜線歩き→急登の登り返しが繰り返すので、これがキツかった。
③一番気を使ったのは、剣ヶ峰の登り降り。初見だと、結構怖い。
④天気に予定を合わせれば、文句なしの大絶景。
⑤川場スキー場は、土日の真夜中1時から駐車場が開いているので、前乗りがおススメ。
■ルート&所要時間
水色線:川場スキー場リフト往復→緑線:登山開始ポイント
青線:登り、赤線:下り

所要時間
08:30 川場スキー場リフト(始発)
08:43 リフト下車、登山開始
09:30 剣ヶ峰山
10:39 武尊山山頂
10:54 下山開始
12:03 昼休憩(20分位)
12:30 スキーリフト乗車
12:53 川場スキー場
TTL時間:4時間23分(内、登り:2時間9分、下り:1時間36分、休憩+写真:38分)
※尚、リフト乗車券は、往復(リフト2回×往復分=4回)で1800円、ICカード発行:500円でした。下山したら、スキー場の人にカードを返却すると、500円払い戻し。
■前乗り車中泊からの川場スキー場

A.M.6:00、川場スキー場から、おはようございます。
週末は、スキー客が押し寄せる→リフトに乗る時間が遅くなるという法則は、
谷川岳で経験しているので、始発に乗れるよう行動します。
土曜の23時半過ぎに高崎の自宅を出発→日付が変わって、
日曜の真夜中1時に川場スキー場の立体駐車場に車を停めて、車中泊としゃれこみます。
登山をするのであれば、前乗りがおススメかと思います。
どこぞとは知りませんが、環八の大渋滞&関越の事故渋滞20kmに巻き込まれ、
9:30に駐車場到着とかやりたくないですね。
車を使う場合は、渋滞リスクを抑えるための作戦が重要ですね。
安全安全と、どこもかしこも宣いますが、早く登って、早く下山することは、
安全の基本ではないかと考えています。

リフト券売り場が開くまで、まだまだ時間があるので、
朝ごはんに買った、コンビニおにぎり、サンドイッチを食べつつ、準備運動をします。
今年は雪が多いとのことで、例年4/16が営業終了らしいのですが、
5月の7日まで営業するようです。このブログをUPする頃には、営業が終了している...!!!

併せて登山届も記入しておきます。
登山の場合、登山届を書かないとリフト券を買うことが出来ませんが..
登山届けを書いて提出することは、呼吸をするのと同じ位当たり前の事なので、
登山される方は、特に注意するポイントではないかと思います。

リフト券の発売は、8:00からでした。
スキーヤーの方たちが並び始めたので、自分も列に入ります。

リフト利用における注意ポイントは、
運行は15:45まで、下山したら、チケットカウンターに下山報告を行うの2点です。

自分はスキーとかスノボをしないので、
あまりリフト利用システムを理解していないのですが、 ↑上の様なICカードを使って、
改札で使うSuicaのように「ピッ」っとして乗るみたいです。 で、下山したら、ICカードを返却して、500円バックとのこと。

8:00丁度にチケット買ったら、勇んでゲレンデへ繰り出します。 ブラボー。文句なしの快晴ですよ。
すぐにリフトに乗ろうと思ったら... 本日、8:30から運行するとのこと。 ひとまず、チケット売り場に戻って、追いトイレ、追いストレッチで時間を潰します。

気を取り直して、8:30、リフトに乗ります。 登山の場合は、「桜川エクスプレス」と「クリスタルエクスプレス」の2つを乗り継ぐ必要があります。

本日の装備。 状況がよくわからなかったので、ストック、ピッケル、わかん、12本爪アイゼン、全部持って行きました。 登ってみた結果、ふかふか雪で無かったので、わかんは終始使いませんでした。 アイゼンは常時着用、急な登り降りでピッケル、
それ以外の稜線歩きはストックを使いました。
ザックは、アークテリクスのNEEDLE40を使っています。 Made in CANADA時代のアークは、ハーネスがとてもしっかりしていて、とても気に入っています。 今では到底考えられない、イナたい配色も好ポイント。

まずは、桜川エクスプレスに乗ります。 リフト、初めて乗ったんですけど、初速がディズニーランドとかのジェットコースター発進みたいな感覚で、とてもワクワクもんだぁ、ですね。 アラサーでここまでテンション上がったのは自分だけだとは思いますが...

桜川エクスプレスを降りて、次のクリスタルエクスプレスに乗り継ぎます。

クリスタルエキスプレスに乗って...

8:43 リフト終点に到着。

少し霞んでいますが、赤城山が見えます。 これ見ながら滑るって、中々に気持ちよさそうですね。
■ゲレンデを出て登山開始

ゲレンデの後ろ側にそびえる岩に向かって、本日のSummit Pushスタートです。
自分を含め、数名が、この日一番の始発組でしたが、
前日登られた方のトレースがしっかり残っていました。
ありがたくトレースを使わせて頂きます。

季節は4月の、いわゆる残雪期ということもあり、
雪解けは進んでいますが、そこは豪雪地帯。 それでも雪は多く、いかにも雪崩そうポイントがいくつか確認できます。


クラックもガッツリ入っていて、距離をおいて目の前の登りを越えていきます。

登り始め、後ろ側には...

玉原湖と三国山脈、奥に志賀高原が見えました。

武尊山はスノーモンスターが生息する事でも有名ですが、
春になると、居なくなってしまうようです。

そうそう、今回の行動食に、「練乳」導入してみました。 「練乳」登山部ということで、ここは外せないかなと。 甘くて、袋のごみも出ないので、良いですね、コレ。 ちょっと喉が渇くのがアレですが。今後も使っていこうと考えています。

区間の短い急登を越えていくと...

左奥に剣ヶ峰山が見えてきます。


まずは、剣ヶ峰を目指し、犀の角のようにただ独り歩みます。

武尊山の予定や、ルートを調べていた時、 武尊の山の注意ポイントは、この剣ヶ峰の登り降りという情報を得ていたので、 剣ヶ峰に登る前に、ストックからピッケルに持ち替えました。 アイゼンも、一応、緩みがないかを確認してから、登り始めます。
■剣ヶ峰を越えて、優美なる稜線歩きへ

準備したら、早速、登っていきます。

剣ヶ峰の上は、先行している方が歩いている所を見て判るように、 両側がどちらも切れ落ちていて、中々に高度感があります。 てゆーか、結構怖いぞ!ココ!!
なるべく下を見ないように、一歩一歩丁寧に歩きます。

高度感があり、スリリングですが、 ピークの上なので、遮るものがなく、 景色は、最上級、約半分奇跡の様相です。

巻機山から中ノ岳~越後駒ケ岳と、上越国境の山々が、 その白い雪を湛えた姿を堂々と誇示しています。
もうすぐ5月なのに、すげぇ真っ白。

こちらは、左側から、谷川岳~朝日岳、そこからの巻機山縦走路。
谷川岳の後ろには、苗場山も。


上越の山々の反対側には、本日の目的地、武尊山~家ノ串山~前武尊が見えます。

その奥には、日光白根山まで見えるという、ニクイ演出でお送りしております。

剣ヶ峰の上で景色を楽しんだら、急降下、真っ逆さまに下っていきます。 う、結構、どころか大分急だ... ここは、ピックを岩や雪に刺したり、
アイゼンが変なところに引っかからないように下りましたが....
今思うと、かなりへっぴり腰になっていたなと思います。時間がかかってしまいました。
区間が短くて良かったぜ。

下り終えて、下から剣ヶ峰を見上げる。 少しでも、急具合が伝わればと思います。

剣ヶ峰を越えたら、武尊山まで、優美なる稜線を眺め続けながら歩くことができます。

雪山ってすげぇよな。だって、みんな白いのに、みんな違ってみんな良いもん。
真冬(3月)の谷川岳のように、全部が真っ白な山は、とてもカッコいいですが、 季節は巡り、雪が全て覆いつくしていた下側から草木が現れ、残雪期の まだら模様の山もまた、良いものです。 この時期にしか見れないという限定感がある。

平ヶ岳は、まだ雪が多そう...

対して、谷川岳は、雪解けが進んでいるように見えます。


絶対的満足感を保証する稜線歩きは、どこまでも。


どこまでも...


どこまでも... って、結構、体力すり減る...けど、楽しいですね。


原色使いバリバリの真っ青の空...とはいかず、 春霞の、少し濁った青空ですが、大きな雲もなく、 快晴の日に登ることができて本当に良かった...!!! 前日、雲が多そうだったので、どうなることかと思いましたが、万事OK。


山頂に近づくにつれて、急な登りが増えてきます。

前武尊側の剣ヶ峰と、飛行機雲。


武尊山は、平坦な稜線歩き、からの急な登りを延々と繰り返すような感じです。 常に上り続ける、わけではないので、平坦な所では体力をセーブしながら歩けますが、 登りで一気に消耗します。


登るごとに上信越国境の山が一気にお目見えです。


残雪気とはいえ、ここは群馬屈指の豪雪地帯。 雪はたくさん残っていて、所々に、雪庇や雪崩が起きた痕が確認できます。


ココを登れば、武尊山まであと少しです。



だだっ広い稜線を越えていきます。
ココ、ホワイトアウトしたら、怖いだろうなぁ...


ここまで来ると、上越の山だけでなく、 尾瀬を統べる二枚看板、燧ケ岳と至仏山が見えてきます。 あと、燧ケ岳の奥には、会津駒ケ岳ですかね???
ともあれ、今後、残雪期の至仏山には登りたいですね。

(今考えると、本当に恥ずかしい登山でした)ので、リベンジをキメたいです。


10:39 武尊山山頂に到着。

山頂は、大分雪解けが進んでいました。

他の登山者にお願いして、写真を撮って頂きました。 服装から見て取れるように、風も強くなかったので、 登り始めから、下山までハードシェルは着ませんでした。

もちろん、ロックなポーズも決めておきます。 テーマは、Led Zeppelinの、Over The Hills And Far Away。 すげぇ、登山っぽいタイトルですね。今更ですけど。
■山頂の景色を楽しむ。そして下山へ

山頂からは、奥日光の山も望めます。 中央、少し右に日光白根山。 男体山は...ちょっとどこにあるかわかりませんでした。

武尊山の、家ノ串山に続く稜線もカッコいいですね。 トレースもあったので、オグナほたかから登ってる方もいるんですね...すげぇな。 去年の7月にオグナほたか口から登ったことがあるのですが、とてもキツかった思い出。 今のところ、武尊山(オグナほたか口)は、日帰り登山において、
自分の思う、キツさNo.1の山であります。
そして、下↓は、尾瀬~上越国境~谷川岳まで一度に見ることができました。





本当に、登ってよかったな、と心の底から納得できる絶景。 まじで、天気に予定合わせて登って正解でした。
明日仕事だけど、これを見れれば、疲れてもどうってことありません。

自撮りもカマしておきます。 朝日岳~巻機山縦走路を見るわたくし。

個人的に、5月の残雪期の朝日岳~巻機山は、一つの目標だったりします。 山小屋なんてありゃしないので、テント泊装備で2泊3日歩き続けるという、 今の自分からすると、想像を絶する世界ですが、体力をつけて、挑戦したいですね。

ということで、そそくさと、下山開始です。

下山は、同じ道をたどるのですが、剣ヶ峰の雄姿を常に見ながら、稜線歩きを楽しめる、1回で2度美味しい仕様となっています。

登山とは全く関係ないですが、足跡が無い面に、足跡をつけておきました。 記録よりも記憶を残していくタイプです。


写真からも、What More Can I Sayな稜線美であることに間違いありませんが、 一言申しておくと、剣ヶ峰がカッコいい。ほんとカッコいいですね。


尊い...


尊い...


尊い... 剣ヶ峰ばかり、写真を撮ってしまいます。 あのきついのをもう一回登って、
降りるということを忘れさせるくらいには尊かったです。

とかなんとか思いながら歩いていると...

まだまだ雪庇が残っているなと気づきました。 なんだか、トレースが雪庇上にありません??? ちょっとやっちまった感。


まだまだ、雪庇はがっつり残ってますね。


剣ヶ峰に段々と近づいてきました。


人がちょんと立っている所がそうですね。

再び、登っていきます。 登るときも、ついビビッて、腰が引けてしまった感じでした... こういうところは直していきたいです。


登って、川場谷側に目を向けると、生々しい雪崩の痕が。 恐ろしや。

まぁ、剣ヶ峰上も、結構恐ろしやでした。

剣ヶ峰を越えれば、ひと段落。 リフトまであと少しです。

谷川岳を見ながら...

昼休憩としゃれこみます。

今回も、信頼と実績のカレーメシですが、最近出たっぽい新フレーバーを試してみます。 この欧風Ver.、バターのコクが感じられて美味しかったですが、 今のところ、個人的No.1はスパイシーチキン(赤いやつ)ですかね。 辛いほうが体が温まるので、雪山補正がいくらか係っているかもしれませんが。

霞がかった、榛名山を眺めながら、おいしく頂きました。

昼食後、少し下って、12:30 スキーリフトに到着。 今回も、ケガなく、無事に帰ってこれました。感謝!!!
そして、最高の稜線をありがとう、武尊山。


リフトを乗り継いで、12:50頃にスキー場に戻ってきました。

下山した旨を受付に伝えて、カードを返却して、500円を取り戻したあと、 ヒグマドーナツに向かったのですが... Jesus Walks!!! 今期の営業は終了していました。

怒りに任せて、コーラではなく、ドクターペッパー(好物)を一気飲みしました。 むしゃくしゃしてやってしまいました。今は反省しています。
■下山後は温泉、早めの夕飯

下山後は、温泉へ向かいます。一番近場のふじやまの湯へ行きました。 大人一人、600円ナリ。安い。
お湯は結構ぬるめな感じでした。アツアツの湯に入りたい方は、注意かもしれません。 ちょっと足を延ばして、花咲の湯とかでも良いかもしれません。

そして、休憩所は、地元の方がカラオケに興じる、ローカル感MAXな雰囲気でした。

15時過ぎ、温泉から出て、抑えきれない食欲を満たすために、 早めの晩御飯を食べることにしました。
今回も完全勝利を掴むことができたので、ゲンを担いで、かつ丼を食べることに。 向かったのは、とんかつトミタ。
個人的に、一番お気に入りテレビ番組:ブラタモリにおいて、
タモリさんも訪れているお店だったりします。
かつ丼をおいしく頂いた後は、高速を使って、高崎へ帰りました。 沼田ICに乗る途中、桜の後ろに見えた武尊山がとてもカッコよかったです。
以上、武尊山 残雪期登山でした。 最後までご覧頂き、ありがとうございます。
■武尊山登山を終えて

厳しい寒さが終わり、山は、春の衣替えの準備を始めます。 その中で、雪を湛えた山は、刻々と新緑の芽吹く春山へ終わりなき変化を遂げています。 残雪期は、そんな冬と春の境を楽しむ期間限定の時期。 真冬よりも天候が安定するので、天気が良い日を逃すわけにはいきません。 天気に予定を合わせれば、
非常に素晴らしい景色を拝むことができるのではないかと思います。
稜線歩きが大好きな方に、武尊山は、自信を持って、おススメできる山です。
ということで、本日の〆の一曲は、コチラ↓
終わりなき変革ということで、YesのPerpetual Change!!!
何千回と聴いていますが、イントロからクッソカッコいいです。
番外編ですが、Liveバージョンは、超ウルトラマグネティックハイパーカッコいいです。
これ、もう、40年前のLiveなんですけどね。
こちらは、YesSongsというライブアルバムに収録されています。
小僧がいうのもおこがましいですが、プログレッシブロックを語るうえで、 必修科目、否さ、義務教育と言っていい位、クラシック(名盤)です。
マジで神ってるとは、コノこと。 当時を知っている世代の方の、レビュー文章もアツいです。
それでは、次の山で。
また明日ヤッホーSTYLE.
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